2016年3月号

<特別寄稿>今月東大を卒業するスタッフから皆さんへメッセージです。
今まで皆さんの質問に答えてきたスタッフが贈る、成績UPのためのアドバイスです。

 皆さんこんにちは。私は学習相談室で主に理系科目の担当をしていたT.H.です。私はこの3月で東京大学大学院の理学部の生物科学科を卒業します。
 これまで皆さんの質問に答えてきた経験を踏まえて、学力アップのための勉強法についてアドバイスしていきたいと思います。まずは全科目に共通することについて、次に特に多くの質問を受けた英語と数学について書いていきます。

 まず
全科目について言いたいのが、教科書は非常に良くできた参考書だということです。以前に「教科書は受験に使えないから読んでも仕方がない」という声を聞いたことがあるのですが、それは間違いです。教科書が受験に使えないというのは、教科書が対応するレベルは「基礎レベル」であり、実際の受験問題に対応するためには問題の難易度が低いという意味です。しかし、最初から受験レベルの参考書を使いこなせる人はいません。その教科書に載っている「基礎」を取得して初めて、その上のレベルである参考書を使えるようになるのです。
 この4年間質問を受けてきましたが、その内3割くらいは教科書の内容の理解が不十分なために問題が解けないというものであり、質問をする前に教科書を読めば解決できたかもしれない問題だったように思えます。教科書というものはそれほどまでに便利で重要なものなのです。ぜひ、積極的に活用していきましょう。

 受験勉強をRPGに例えてみます。最初のレベルを1、受験本番に必要なレベルを100とすると、教科書は最初から使えてレベル70くらいまで非常に有効となるアイテムです。受験に必要なレベルの取得のためにはさらにレベルの高いアイテムである参考書が必要になりますが、それを使えるのは大体レベル30〜50に達してからです。そのレベルに達していない人が参考書を使っても意味がありません。そこまでに必要なアイテムが教科書なのです。

 次に、
英語と数学に関して話していきます。
 まずは
英語ですが、これは辞書をもっと活用してくださいの一言に尽きます。辞書には単語の意味だけでなく、使い方 (自動詞か他動詞か、可算名詞か不可算名詞か、第何文型を取るか、どんな前置詞と一緒に働くかなど) も一緒に掲載されています。なので、文法事項が分からない場合でも、辞書を引くことで解決できることは多々あります。実際この4年間を通して辞書を引くだけで回答できるような質問…例えば「agree toとagree withの違いはなんですか」という質問などは毎年のようにありました。きっと他の東大生も同じ質問を受けたはずです。それだけの質問が辞書を引くだけで解決できるのです。自分で辞書を調べれば、1つにつき10分もかからないと思いますが、これを質問するとなると、場合によっては回答までに1日以上を要してしまいます。これは時間の使い方として非常にもったいないです。辞書は教科書同様、皆さんが思っている以上に強力なアイテムです。ぜひ、もっと積極的に活用してみましょう。
 次に
数学についてですが、これは、自分がどう考えてどう計算し、どこで詰まったのかというのをしっかり書くということです。「この問題が分かりません。答えを教えてください。」は1番の無駄です!こんな質問をするのであれば、模範解答を見るか先生の解説を待った方が何倍もマシです。質問の書き方を具体的に書いていくと、まず問題の途中で詰まったのであれば、「この問題の〜まではできて以下のような計算になりました。その後、〜の考え方や…の考え方を使うのではないかと思い自分で計算してみたのですが、上手くできませんでした。どのように考えればよいのでしょうか?」や「解答を確認したのですが、〜の部分の考え方が分かりません。」という質問が一番自分のためになると思います。このように書くことで、こちらとしても皆さんの分からない箇所やレベル等を正確に判断し、より的確な回答を返せるようになります。
 問題の最初で行き詰ってしまった場合は、
模範解答を少しだけ見るのもありです (全部ではなく最初の一部だけです。もちろん丸写しなど論外です) 。そして問題で行き詰る→模範解答を見て詰まっている部分だけを見つけ、そこの式だけを見て次のステップに進む→次のステップを考える→自分が出来なかった部分を復習する→それでも分からなかったら質問するという流れで勉強を進めてみましょう。こうすることで、その問題の中から自分が分からなかった部分だけを抜き出すことができます。
 
勉強の目的はその内容を自分で理解することです。そのためには自分で調べ、考えるというステップが最も重要です。なので、分からなかったらすぐに人に聞くのではなく、自分なりに調べる、考えるというステップを踏むようにしましょう。分からない部分で教科書に立ち戻ったり、辞書を調べたりというのがこれに該当する部分です。これが最も効率の良い勉強方法だと私は思っています。自分で調べる・考える作業というのは、時に時間も必要とされるつらい作業です。しかし、その作業は後々必ず実を結んできます。ぜひ、半分騙されたと思って実践してみて下さい。応援しています!

(理学系研究科 生物科学専攻 T.H) 

Q1.来年の受験科目で日本史を取ります。今から日本史の受験勉強を始めたいのですが、何からどう勉強したらいいかアドバイスお願いします。
(高2 男子)
A1. 日本史は歴史の流れがわからないと用語を覚えることが難しいので、教科書を何回か熟読して、まずは大まかな歴史の流れを覚えましょう。政治史の流れを把握して、それを軸に他の分野(経済史・外交史・文化史など)を関連させて覚えていくことが基本です。図のある資料集を活用して視覚的に理解することも大切です。

● 日本史の授業の取り組み方…その日のうちの復習がポイント
 授業中は板書を写すだけでなく、
先生が「ここが大事!」といったところはマーカーで印をつけておきましょう。そして自宅での復習はその日のうちに習ったところを書き込み式参考書の穴埋めで、基本事項を記入していきます。これでかなり覚えることが出来ます。予習に関しては授業前に教科書に目を通せればベストですが、必ずしも必要は無いでしょう。

● 用語の覚え方…書いて声に出して五感をフル活用
 用語は一回読んだ程度ではすぐに忘れます。私は何度も書くことをやりました。書くだけでなく、何度も声に出して覚える努力をしました。
書くとか、声に出すとか、五感をフルに活用すると記憶に残るようになります。ぜひやってみてください。また、用語だけを覚えようとしてもなかなか記憶に残りにくいので、私は教科書の太字の重要語句や人物は、用語集や参考書の説明文を読んで、事件の背景や人物のイメージを意識して覚えるようにしました。
 これは個人差がありますが、自分は暗記が苦手だったため、覚える時間を寝る前に決めていました。覚えた後で他の事をやると忘れてしまいそうな気がしたので、一日の一番最後に暗記をやりました。次の日目が覚めたらすぐに前日の夜に覚えたことがどの程度記憶に残っているか確認しました。大体10分くらいあればチェックができます。良かったら試してみて下さい。

● テストで良い点を取るために…問題演習で実力をつけ
 語句を暗記しているだけではなかなかテストでは良い点は取れません。私も初めは「日本史は暗記だ」と決め付けて、覚えることしかしなかったため、模試ではあまり点数が取れませんでした。
問題集を使って通史問題や資料問題を、基本問題中心に取り組んでみたところ、得点がアップしていきました。「覚えたことを使ってみる」ことも大切だと思います。頑張って下さい。
(医学系大学院 K.T)

Q2.古文の質問です。「流す」と「流る」の違いはなんですか?
(高1 女子)
A2. 「水を流す」とは普通に言いますが、「水を流る」とは言いませんよね。ということは「流す」と「流る」は別の性格を持つ言葉になります。
 「水を流す」のように「〜を」の形で言う事の出来る動詞を他動詞と言い、他のものに対して働きかける性質があります。
 「流る」は「水(が)流る」のように使います。放っておいても水は流れている、そんな状態です。他からの働きかけが無くても勝手にそうなっている状態を示す動詞を自動詞といいます。
[自動詞と他動詞の例]
育つ 自動詞 草育つ(自)
他動詞 草を育つ(他)
笑ふ 自動詞 娘笑ふ(自)
他動詞 娘を笑ふ(他)

 こうした自動詞と他動詞の区別は口語訳を作るときに大きく影響する場合があります。
 源氏物語の桐壺の一節から見てみましょう。
 (帝は)人のそしりをもはばからせ給は。(え〜ず…〜することができない)
 文中の「
はばから」→終止形「はばかる」は自動詞と他動詞で意味が全く異なるため、どちらであるかを見抜く必要があります。
はばかる 自動詞 進めない いっぱいになる
他動詞 恐れ慎む 遠慮する

 もう一度例文を見てみましょう。
 
人のそしりもえはばからせ給はず。
 この「はばかる」は「〜を」の形になっているので他動詞だとわかります。
 これにより口語訳は「人の非難をも慎みなさることがおできにならない」となります。
 古文単語も、英単語と同じように動詞は自動詞と他動詞の違いを意識することが大切です。
(農学部 K.K) 
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